ICTを活用したLD(学習障害)のサポート『読み書きラボ・ココロ』に行ってみた【前編】
長男がADHD(注意欠陥・多動性障害)とLD(学習障害)と診断されています。
学習障害とは、基本的には全般的な知的発達に遅れはないが、聞く、話す、読む、書く、計算する又は推論する能力のうち特定のものの習得と使用に著しい困難を示す様々な状態を示すものである。学習障害は、その原因として、中枢神経系に何らかの機能障害があると推定されるが、視覚障害、聴覚障害、知的障害、情緒障害などの障害や、環境的な要因が直接的な原因となるものではない。
出典:「学習障害児に対する指導について(報告)」学習障害及びこれに類似する学習上の困難を有する児童生徒の指導方法に関する調査研究協力者会議 (1999)
小学2年なので九九が始まりまして、ゆっくりなら答えられたりするのですが、学校の授業では「インイチガイチインニガニインサンガサン・・・」と呪文のようにスラスラと声に出して一字一句間違えないことを求められ、失敗するとみんなの前で叱られるそうです。
できる人にとってはそんなの訓練でできるよ甘えんなということが、LDの子には本当に大変なようで、何とか解決できないかなと思っておりました。
そんな時、療育施設の先生に妻が教えてもらったのが、読み書きラボ・ココロのことです。
東京大学の先端科学技術研究センターでICTを活用した教育を研究されているそうで、そのプロジェクトの一つだそうです。
ICTとは、Information and Communication Technology(インフォメーション・アンド・コミュニケーション・テクノロジー)の略で、日本ではすでに一般的となったITの概念をさらに一歩進め、IT=情報技術に通信コミュニケーションの重要性を加味した言葉です。
ICT - インターネット用語辞典 - | OCN
正直、どういうことをされているのかピンとこなかったのですが、セミナーをするというので行くことにしました。
場所は東京都目黒区駒場にある東京大学先端科学技術研究センターです。
二十年ほど前に東大駒場キャンパスの学祭に行ったことがあるのですが、やはり東大に入るだけで緊張しました(笑)
セミナーは二部構成の講演で、一部はこのプロジェクトを主導されている中邑賢龍教授です。
中邑 賢龍 | 研究者プロフィール | 研究について | 東京大学 先端科学技術研究センター
発達障害の子を育てる本 ケータイ・パソコン活用編 (健康ライブラリーイラスト版)
- 作者: 中邑賢龍,近藤武夫
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2012/09/11
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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ICTを活用して苦手なことを克服するというだけでなく、もし子供が現在の教育システムからはみ出してしまってもそんなに心配しなくていいんじゃないか、ユニークな子供を社会に無理矢理適応させるよりも、その個性を認めて活かせる方法を模索した方がいいのではないかという趣旨の話を説得力を持って話されていました。
例えば、黒板を書き写すのが苦手な子はデジカメで写真を撮ればいいんじゃないか。
もしかしたら、そんなこととんでもないと違和感を感じる方もいるかもしれないけど、確かに大人の世界では、会議で書き込んだホワイトボードはノートにメモじゃなくて写真撮ってるんですよね。。
計算が苦手なら電卓を使えばいい。
もちろん、頭の中で九九ができるならそれにこしたことはないんだろうけど、大人である僕もわからないことはググればいいかと思ってるし、仕事で問われるのは膨大な情報の中から本当に知りたい所にたどり着けるかどうかのスキルだったりします。
身体に染みこんだこうあるべきという固定概念を取っ払えば、九九を一字一句間違えないでスラスラ言えるかどうかなんてことは重要じゃないんですよね。
そう思えただけでも行って良かったです。
『私を含めて東大の教授にもアスペルガーと診断されてもおかしくない人はたくさんいますよ。』と仰っていましたが、発達障害だとしても良いほうに向けばユニークさを武器にして活躍できるんだろうと勇気付けられました。
実はこのセミナー、去年の12月の話なんです。このセミナーから約3か月後に個別面談がありました。続きは次回ご紹介します。