東京あいうえお

発達障害を持つ育てにくい子たちと できるだけ楽しく暮すには?を探す試行錯誤の日々

君の名はBABYMETAL。

僕には従兄弟がいる。
3つ年上で、小さい頃から兄弟のように付き合ってきて、今でも月に1度は電話で話したりしている。
ただ、だからと言って気が合うというわけではない。
昔から遊ぶと楽しいし、好きだったけれど、3日一緒にいるとイライラして喧嘩になっていた。


鼻炎である彼はいつもティッシュで鼻をかんでいた。そして、そのティッシュをポイっと部屋に捨てるのでいつも部屋は鼻水のついたティッシュだらけになった。
ある時は、外を一緒に歩いてると痰をカーっペッと僕のカバンにかけた。
書くとどうでもいいことに思えるけど、ズボラで神経質な従兄弟は僕とは正反対と言っていい性質で一緒にいるとじわじわとイライラしてくるのである。

 

でも、基本的にいい奴だし、月に一度は話すぐらいだから仲は悪くない。

 

そんな従兄弟は古着屋を経営している。
何度か失敗した後、持ち前のハングリーさと古着へのこだわりで何店舗か持つほどには成功した。
40代なかばで、ロン毛にヒゲと短パンという、見るからにアウトサイダーな風貌である。
好きな音楽はグラインドコア。聴く人が聴けばただの雑音、騒音だ。
昔から、型にハマれないタイプの人間で、普通の会社員にはなれても決して続かなかっただろうし、自由で王様になれる今の仕事につけて本当に良かったと思う。

 

そんな従兄弟と先週、久しぶりに喧嘩になりそうになった。

 

事の発端は些細なことだ。
最近あった話で、BABYMETALのライブに一人で行ったことと、「君の名は。」を観た話をした。
そうすると、まずBABYMETALについて「おまえもきっしょいことしてんな」と言われた。

 

みなさんはBABYMATALはご存知だろうか。


BABYMETAL - THE ONE (OFFICIAL)


はっきり言って、僕はそんなに詳しくはない。ファンとすら言えないと思う。
3人の名前すらちゃんと言えない有様だが、いちメタルファンとしてBABYMETALの存在を無視できるはずがない。
ベビメタのどこがいいかなんて僕が言っても仕方ないが、とにかく数曲好きな曲があったのと、久々にライブ行きたいなと思ってたのと、今観ておいた方がいいんじゃないかという思いで開催の10日前ぐらいにチケットを買ったのだ。
自分はアイドルのライブに行ったことはないが、それでもベビメタがアイドルを超えたアイドルであることはわかっていたので、掛け声ができなくても振り付け?を知らなくても自分が浮くとも思っていなかった。
事実、幅広い老若男女の観客が会場を埋め尽くし、いわゆるアイドルオタクよりもLOUDPARKメタリカのライブに行った時の客層に近かった印象だ。
社会現象とまでは行かなくても、X JAPAN宇多田ヒカルなど数多くのアーティストが成し遂げることができなかった海外での成功を実現した彼女たち(と最強のバックバンド)を観ておきたいと思うのはきっしょいはずもない。


「今」しか体験することができない空気を味わいに行って何が悪いのだ。

 

それと同じように、「君の名は。」だ。
「俺、ああいうアニメみたいなよくわからんやつ興味ないねん」
自分もそうだ。
基本的にアニメには関心がない。でも、あれほどの興行収入と話題性を無視はできない。
批判するなら観て批判すればいい。


「君の名は。」予告

 

扉を閉ざしたら光は差し込まない。

 

従兄弟は、ロン毛のアウトサイダーだ。
毎日行っているスケボーパークの知り合いはタトゥーだらけの不良中年ばかりだ。
社会からはみ出て生きてきた人間が、どうして自分からはみ出たものを頭ごなしに否定するのか。

 

虐待は連鎖する

 

そういうことなのか。差別的な目で見られてきた人間が、さらに誰かを差別的な目で見る。負の連鎖。暴力が暴力を生む。
いや、自分がされて嫌なことは、人にはするな。
そうも教わってきたはずだ。


いじめられた経験があるからこそ、弱者の気持ちがわかる。
自分はそういう人間になりたい。

 

「BABYMETAL」「君の名は。」の流れで、僕の知り合いの女装してる男のことも否定し始めたので、そこで僕は静かに怒ったのだ。

 

俺が高校生の時、ばあちゃん家でジューダス・プリーストのライブビデオ観てたら、お前の母ちゃん(エホバの証人)から

「悪魔の音楽!そんなの聴くな!」

って言われたの思い出したわ。お前も同じなのか?

 

そして従兄弟はこう言った。


「まあ、BABYMETALはバックの演奏は上手いわな。あと、あの3人の女の子?めっちゃかわいいやん。すげーかわいいよな。その印象しかないわ。」

 

お前の方がきっしょいわ・・・

 

と言いそうになったのを、僕は静かに飲み込んだ。

 

 

君の名は。(通常盤)

君の名は。(通常盤)